プロスペックスってどんなシリーズ？

　セイコーと言えば誰もが知る時計メーカーですが、セイコーのプロスペックスと聞くと皆さんは何を想像するでしょうか。ダイバーズを筆頭としたアウトドア向けのスポーツウォッチを思い浮かべる方も多いと思います。今回は本格スポーツウォッチの印象も強いプロスペックスの魅力をその歴史からご紹介いたします。

ファーストダイバーズウォッチ
ダイバーズだけじゃないプロスペックス
緑の文字盤のアウトドアウォッチ
現代のプロスペックス

ファーストダイバーズウォッチ

　セイコーは1965年、国産初のダイバーズウォッチを開発しました。このファーストモデルは自動巻き150 m防水を有しており、耐久性、信頼性は十分なものでした。今年復刻モデルが登場したこのファーストダイバーズは当時、南極観測隊の装備品として寄贈もされており、実績も申し分ありません。

実際に使用された国立極地研究所の施設　写真：The National Institute of Polar Research

3年後の1968年にはハイビートムーブメントを搭載したセカンドダイバーズを発売。防水性も300 mにアップしました。
さらに7年後、セイコーはダイバーズウォッチとしての目標を一つ達成します。それは300 m以深の飽和潜水にも耐えられる世界初となる時計の開発です。

一般的な潜水と　飽和潜水の違い

送気式潜水(一般的な潜水)―ボンベ等から呼吸ガスを供給し行う潜水方法。
飽和潜水―深海の水圧(ヘリウム混合ガスを使用)を体にかけ、慣れさせてから行う潜水方法。100m以上の深度でも安全に潜水が可能。

今までの時計では、高い圧力＋空気よりも体積の小さいヘリウムによる負荷に耐えられませんでした。そこで世界初となるチタン製の裏蓋がないワンピース構造のケースを装備しました。この見た目を見たことある人は多いかと思います。

その外見から「ツナ缶」という可愛らしい相性も持ちますが、このモデルは世界最強のダイバーズウォッチと呼べるものでした。

特徴の一つの蛇腹式バンドなど外装のみで20もの特許を持つこだわり抜いた一本

しんかい2000に装備されたセイコーダイバーズウオッチ　写真：JAMSTEC

1983年「しんかい2000」に装着され1,062mの水圧にも耐え信頼性をより強固なものにそれからもスプリングドライブやクオーツムーブメント、アラームやセラミック外胴など他ブランドにはない「初」をたくさん取り入れました。その挑戦心が世界中のプロダイバーや冒険家たちの心をつかんでいるのでしょう。

ダイバーズだけじゃないプロスペックス

　セイコーには「誰にでも正確な時をもたらす」という信念があることは有名かもしれません。それと同じ情熱を注いでいるのが「正確な時を計測する」ことです。セイコーの計測技術は1964年の東京オリンピックにて公式タイムキーパーを務めたこともあり、世界的に認められていました。同じ年に国産初のクロノグラフを開発。その5年後の1969年に世界初の垂直クラッチ自動巻きクロノグラフを開発しました。それが「1969 スピードタイマー」というわけです。

世界初の垂直クラッチ自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」

1969年は世界で自動巻クロノグラフが誕生した年であり、「ゼニス」や「タグ・ホイヤー、ハミルトン、ブライトリングの合同チーム」が開発。そんな年に日本のセイコーも自動巻きクロノグラフを生み出し技術力の高さを示しました。

その有名なスピードタイマーの名と「正確な時を計測する」使命を引き継いで現代のスピードタイマーとなっているのです。オートマチッククロノグラフに加え、ソーラークロノグラフも登場し今まで培ってきた技術を詰め込んでいます。スポーティな印象を与えるタキメーターベゼル、普段使いにピッタリなソーラーを搭載しその使命を全うしています。

緑の文字盤のアウトドアウォッチ

　時計で緑というとどうしてもマイナーなカラーの印象が強いと思います。しかし、セイコーにはメインカラーが緑の時計が存在します。それが「アルピニスト」です。このアルピニストは登山者のために作られた時計で20気圧防水をはじめ頑丈な造りになっています。イメージカラーの緑は単純に山、自然の色ではありません。当時のデザイン担当の愛車ミニローバの「アーモンドグリーン」を反映したものです。この独特な緑から感じられる英国っぽさも人気の秘訣かもしれませんね。